「“はにわ”はなんですか?」
放課後の自習時間、どこからか中学校の歴史の教科書を見つけたAくん、
どっかりと私の事務机の隣に座りこんでしまいました。
こうなるともう事務仕事はできません。
「この漢字はなんと読みますか」(日本の教科書なので全部にはルビがついていない)
「これはなんですか」(前方後円墳)etc.…。
質問にひとつひとつ答えているうちにあっというまに時間が過ぎていきます。
葛飾北斎の「富嶽三十六景」を指さして「これはなんという絵ですか」と聞かれた時には
すぐに名前が出てこず「うっ」となってしまいました。
するとAくん絵の中の富士山を指さして、「この山の絵です」、と。
それで私も名前を思い出したのですが、Aくんがそこまで知っていたことにびっくり。

16歳のAくんには知りたいことがたくさんあるのですが、
日本には彼の母語のミャンマー語の本はほとんどなく、
インターネットで得られる情報も多くないので、
知りたいことは一生懸命に日本語で質問します。
彼ほどではないですが、聞きたいことがたくさんあるのは他の生徒も同じ。
日本語を知らないだけで知識は身についている年頃の生徒たちなので、
質問内容もなかなか鋭く油断できません。

しかし、ひとり事務局の新宿校。
私にもたまに「これを終わらせないと今日は帰れない…」という仕事があります。
そんな時に頼りになるのが小学生を対象にしたニュース雑誌など。
Aくんにさりげなく「こういう記事」があるよと手渡します。
内容も時事問題から歴史までいろいろで受験やこれからの勉強にも役立ちそうですし、
ルビがあるので「この漢字はなんと読みますか」の質問は減ります。
ただ紙面の話題が豊富なので、内容への質問の量は増えている気がしますが…。

たまにそんな日もありますが、生徒たちの「知りたい」を気持ちを大切にしたいと思います。

たぶんかフリースクール新宿校