これからの地域の居場所の可能性(その2)

(※市民活動センター情報紙の掲載記事を紹介します)

岡本寺でコミュニティ・カフェの取り組みが始まったのは
「10年くらい前やったなぁ」と
思い出しながら話してくださったのは
住職の平田信活(ひらた・のぶかつ)さん。

最初の半年間はなかなか人が来ず
ある時「よもぎ団子を作ろう」という企画を立て
チラシを作って呼びかけたところ
大勢が集まり
そこからいろいろなつながりが生まれていった。

今では、絵本、手品、刺しゅう、童謡唱歌、落語会
ハングル、太極拳、自彊術、マッサージ
春・夏休み時期の「寺子屋」と
多彩な活動が広がっている。

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■ 「心の時代」の受け皿に
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お寺を地域に開いていくことを
平田さんはいつ頃から考えておられたのだろうか?

「修行寺から戻ってきて
何か物足りなさを感じていて
それは修行寺で毎日行っていた坐禅を
していないからだと気付いたんです。

一人で坐ってみたけれど
長続きしない。

縛りがあれば続けられるだろうかと
平成2(1990)年の大晦日に『年越し坐禅会』を開き
それから数か月後
月一回の日曜坐禅会を開くようになりました。

それが全ての始まり。

そこから人との出会いがあり
今へとつながっていきました」。

もともと、子どもたちと遊ぶのが大好きで
学生時代から野外活動のリーダーをやっていた平田さん。

平成14(2002)年の春休みには
近所の子どもたちを集めて
夕方4時から日没まで遊ぶ会も始めた。
それは新学期になっても週1回のペースで続いた。

その頃、「心の時代」と言われ
写経や坐禅がブームになり
書店には仏教を始めとする宗教書が並んだ。

一方、身のまわりで「仏教離れ」が進む状況に
「人々の気持ちにお寺がきちんと向き合っていないのでは」と感じた平田さんは
大学教授を招いての10年連続のインド仏教講座や
「老・病・死」をどう迎え
またどう支えあっていくかをテーマとした講演会を開催する。

それと同時に、お寺がみんなの居場所となるようにと
コミュニティ・カフェをスタートさせたのが
平成20(2008)年のことだった。
(その3に続く)