15年1月27日、多文化カフェで福田さんによる「福田家滞米記」を開催しました。この時期にしては気温は暖かでしたが、朝からあいにくの雨の中、14人の参加がありました。スピーカーの福田さんは、2000年から妊娠8カ月の身重での米国生活が始まり、14年間過ごされました。住居、出産、買物、学校、お祭りにと多岐にわたる話の中から、興味を惹かれたことを中心に紹介します。
【言葉・気候・住まい】 (写真は家の前で大家さん家族ご夫妻と)
最初は、Garden State(ニュージャジー州、NJ州と略記)で10年、Peach State(ジョージア州、GA州と略記)で4年間滞在しました。日本では殆ど知られていませんが、各州には上記のようなニックネームがついています。州のニックネームをクイズで出しましたが、殆ど知られていませんでした。その他にも、英語と思って使っている言葉を英語でどう言うかを、クイズ式で出して見ました。半分ほどは正解でした。NJ州は、ニューヨーク州のすぐ南側の州で北緯40度で、盛岡市と同緯度です。米国内でも最も多民族、多宗教が混在する州で、56.4%は少数民族です。
 GA州は、フロリダ州の北側で北緯32度にあり、宮崎県と同緯度です。フロリダと聞けば、温暖快適な気候を思い浮かべますが、5、6cmの降雪があります。

降雪した3日間、学校閉鎖されましたが、春・夏には桜やその他の花も一杯咲き乱れます。
NJの家は広く、1階部分に大家さんが住まわれ、2階部分を借用しました。細々したことを注意されることもありましたが、ドイツ系の人で、日本人の感覚に近く、親切にしてもらいました。各家の裏庭も広く、写真の様な遊具、トランポリン等があるのが普通です。隣の家との間に垣根など無く、境界もハッキリしません。
【出産・育児・学校】
駐在直後に出産しましたが、日本とは大違いでした。先ず、計画出産ならぬ計画分娩で、医師と日程の相談をして、出産日を決めます。指定の日に入院し、陣痛促進剤を注射します。入院期間は、わずか2泊3日しかないのに、出産した時間が真夜中12時近くだったので、丸3日はなく退院は本当に厳しかった。帰宅すると友人たちが、飾りとともにサイン入りで“It’s a girl.”と書いて、祝ってくれたのがとても嬉しく、元気づけられました。
 学校制度は州ごとに異なり、NJ州では、中学校がなく小学校は7年生までで、高校生は8年生から12年生までとなります。学期は9月初旬から翌年6月中旬。GA州では、小学校は5年生までで、中学は6〜8年生、高校は9年生から12年生までとなっています。学期は8月から翌年5月下旬までです。

帰国して子供が戸惑ったのは運動会。米国では、友達同士でふざけ合うとか、自分たちが楽しむ行事です。日本は日頃の教育を親に見てもらう会になっています。組体操の練習を何度もさせられ、軍事訓練ではないかと嫌がりましたが、今は慣れた様です。
【お祭り】
 元旦や独立記念日などもありますが、盛大に祝うのは、何と言ってもキリスト教に纏わる祝日です。
・Easter(復活祭)はイエスの復活を記念して、春分後の満月直後の月曜日に行われます。沢山の卵に色づけをして、中にプレゼントを入れてあちらこちらに隠します。子供たちはそれを探し、見つけた卵は自分のものに出来るので必死に探します(Egg Hunt)。卵は生命の象徴と言う意味があると使われているのです。
大晦日には、ニューヨーク タイムズ スケアーなどで、新年を迎えるカウントダウンが盛大に行われますが、2日から始業となるなど、日本人としてはもの足りなく感じます。
・Memorial Day(5月の戦没者追悼の日)やLabor Day(9月の労働者の日)がありますが、これらの祝日で、夏が始まり、夏の終わりの季節感を感じるのです。
・Halloween(万聖節)は、10月31日の夜に全聖人を祝う日(Hallowmas)の前夜祭で、秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教行事の意味合いがあります。子供は魔女やお化けに仮装して、各家庭を回り食べ物をもらいます。日本人は忍者キッズに仮装するのが人気。

1年分はあるかと思う程一杯のお菓子をもらってきます。カボチャをくりぬいて飾るのは知っている人も多いでしょう。
・Thanks Giving Day (感謝祭)は11月第4木曜日に行われるお祭りで、1年間の神の恵みに感謝する祝日。感謝祭は米国で最も盛大に祝われ、日本の正月のイメージに近いものがあります。パレードが行われ、消防車が加わっているのは不思議ですが、子どもたちにとって消防士は英雄で、憧れの的だからでしょう。感謝祭翌日の金曜日をBlack Fridayと言います。世界的株価暴落のブラックマンデーを思い出しそうですが、この日からクリスマス セールが始まり、小売店が大きく黒字になるのでこう呼ばれます。同様に、Cyber Monday(感謝祭の翌週の月曜日)もコンピューターのサイバー攻撃を思い出しますが、PCを使ったオンラインショップのセールの開始日で、大々的なキャンペーンを実施し、売り上げが急増する月曜日の意味です。感謝祭では、教会でおご馳走を用意していて、誰でも中にに入って食べることができます。
【まとめ】
日本と比べて米国は土地が広く、何でもスケールが大きく気持ちがゆったりしていています。買物をして品物を持ち帰り、値札を外したり、包装紙の封を切っても、気に入らなければいつでも返品可能なのも、おおらかさの象徴でしょうか。

【主な質疑】
Q)近所付合いはどうでしたか?
A)滞在してすぐ出産、冬も長く友達もいないので、子供相手に3年間家に籠っていました。子供が幼稚園に行き出してから、ママ友ができました。
Q)子供の夏休みが3か月弱と非常に長いが、その間何をしているのですか?
A)子供対象のキャンプに参加させるとか、いずれも有料ですが、遊園地、水族館などへ連れて行ってもらうなどの行事があり、参加させたりします。学校の先生が塾を開いていて、そこに通わせることもあります。
Q)地域活動への参加はどうしたか?
A)図書館に色々な掲示がされていて、地域の活動情報がそこで入手できるので、活用していました。
Q)米国人は6時前から通勤している人が多いが、ご主人も朝は早かったのですか?
A)朝早くから、夜遅くまで働いていました。会社だけでなく市役所も早く、7時には受付が始まっています。(写真は、プレゼンが終わり自由になった?福田さん)
【次回】3月17日 イエメンの阪大留学生ハニさん(男性)から、国の文化や週刊を紹介をしてもらいます。 以上 文責 濱崎