年明け早々の10日に、日本的伝統を継承している大衆演劇に関し、務川 智正さんにお話をしていただきました。「大衆演劇が いま 面白い」と題しての講話でした。
・務川さんは、自ら大衆演劇の脚本を十数本書かれ、演出もされる一方、大変熱烈なファンであり、熱くその魅力を語ってくれました。百聞は一見に如かずと、演劇のDVD再生、それに、務川さんが主宰されている「シアターワーク豊中そらまめ」の座長小池清さん、団員塩谷レオさんにも歌と踊りを熱演して頂いた。今回はこれまで観劇したことのない人が気軽に行けるよう、切符の入手法なども含めた入門編と言ったところ。
・最初に、「チラッとでも大衆演劇を見られた人は?」と問いかけをされ、ごく僅かかと思っていたところ、約半数の方が挙手。やはり、かなり浸透している感じ。
・演劇場は関西で27カ所あり、その内大阪だけで18カ所、東京3カ所、九州11カ所と比べると大阪が圧倒的に多い。大阪では通天閣界隈に多く、高槻、池田にもある。お勧めの劇場は、浪速クラブ、朝日劇場と言ったところ。
・入場券は、初回は劇場まで足を運んで、公演予定を見て購入する。前売り券を贔屓の役者から買うという事も行われている。
・大衆演劇とは、どんな特徴があるのだろう。劇場または(ヘルス)センターで演じられ、観客と演者の距離が近く、一体感があって分かりやすく楽しめる芝居。安い料金で観劇できること。料金は、1,300〜1,800円程度と庶民的な価格になっている。

・舞台は、三部構成で演じられ、3時間〜3時間15分程度である。第一部は軽く顔見世ミニショー。第二部は、お芝居「忠治旅日記」、「瞼の母」等々時代物も多いが、新しい脚本もある。第三部は日舞を中心とした、歌と踊りのグランドショーからなる。
講師がおススメの大衆劇団は、浪速劇団 近江新之介、近江飛龍劇団 近江飛龍等々。
・公演は、昼と夜の2公演。1日で別の劇場へ移動し、翌日は別の劇団が公演する。日替わりなので、各劇団は多くの演目を持っていて、劇場を巡回しつつ公演。練習はキッチリした台本を持たず、脚本に従い座長が「口立て」にて、団員に動きを伝える。団員はそれを覚え演じることになるが、演目に対し繰返し練習をすることは余りない。
・大衆演劇の発祥は、江戸時代1604年に出雲阿国と言われる人が、京都三条河原で踊ったことに始まる。これが常設館で行われるようになり大歌舞伎となった。一方、京都、大阪、江戸に別の常設館ができ、少し軽い芝居が演じられるようになった。旅廻りでも演じられ、小歌舞伎ないし旅歌舞伎といわれ、大衆演劇となった。明治になり演劇改良運動などの紆余曲折があったが、戦前ないし、終戦直後までは神社の境内などで小屋が掛けられていた。急速に変わったのは、TV時代に入ってからである。

・低料金で観ることができるが、役者側は鬘代や衣装の費用はかなり負担になる。役者へのファンからのお花代(オヒネリとも言う)が、支えとなる部分がある。お花代がどのように渡されているのか、DVDでの紹介があった。この録画は、劇団花吹雪 桜春乃丞が小桜から桜を襲名した際のお披露目の特別公演の様子。高額なお花としては1万円札を綴った首飾りや、1万円札を張り合わせたタペストリーの様なものを役者に付ける。プレゼントされた衣装の披露もこの様な場で行われる。裕福な人ばかりではなく、食事代を節約してでも、贔屓の役者にお花代を出す人も居るとか。役者の顔写真や踊る姿も映されたが、女装されていて、女っぽい色気を感じさせる写真で、踊りも女性以上にしなやかであった。
・「シアターワーク豊中そらまめ」座長の小池さんと塩谷さんから「決闘高田の馬場」の歌と踊りが披露された。約10分と長い曲であったが、かなり練習され歌い込まれていることが良く分る熱演で、最後まで声が衰えず歌いきられた。参加者からの手拍子と、最後には大きな拍手もあって大いに盛り上がった。
1月17日 岡町コミュニティーkittoで公演があるのでどうぞというPRをされた。
後日、参加者の中で、見に行ったという方もおられ、すごくよかったとの感想でした。

・最期に図書館司書から、「私の舞台は舞台裏」という木丸みさきさん著の漫画が、大衆演劇を簡潔に余すところなく描かれていると紹介もあった。長谷川伸の脚本などもおすすめとのこと。
【主な質疑】
・中身が古いし、異次元の世界を見せられた感じがする。現在も観に来る人があるのか。年齢層は?
 「古いものだけではなく、ドラムショウやExileの曲、川の流れ等新しいものも演じる。中高齢者ばかりではなく20代女性もかなりいる。終演後役者による送り出しもあるので、TVや歌舞伎では絶対得られない、役者との交流・一体感などに魅力を感じるのではないか」
・歌舞伎の立ち回りで使われる剣は竹光であるが、大衆演劇では真剣が使われる。そこに迫力の差が出るのではないだろうか?
 「その通りだと思います」
・関西地区の劇団が、他地区の劇場でも演じられるのか?
「他の地域の劇場へ行くし、他の地域からも来ている」 など
【2月のコラボ大】
2月14日開催、井口勝文さんによる「イタリアの小さな町の豊かな生活」です。以上
 (文責 濱崎)