ごはん・おかず交互に 「口中調味」でおいしく健康

ごはん・おかず交互に 「口中調味」でおいしく健康
NIKKEI STYLE 2/24(金) 7:47配信

 口中調味(こうちゅうちょうみ)という言葉を耳にしたことがあるだろうか。

日本の家庭の食卓で昔から普通に実践されてきた食べ方で、米飯とおかず類を交互に食べ、口の中でゆっくり混ぜ合わせて味わうことを指す。

かむ回数も増えて唾液が増えるなどし、早く満腹感を感じられ、食べ過ぎや塩分・脂質の取りすぎを防ぐことも期待できる。

 東京都に住む会社員の女性(42)は、太り始めてきたので主食の米飯を極力抜く糖質制限を続けていた。

ところが、正月に新潟に帰省し、だしの効いた雑煮や塩ザケと炊きたての白米を前に「我慢しきれずほお張ってしまった」と話す。米飯を我慢しなくてもいい方法はないか悩んでいる。

ごはん・おかず交互に 「口中調味」でおいしく健康

■日本食ならでは

 こんな人にお勧めなのが三角食べによる口中調味だ。

主食の米飯と主菜、副菜、汁物などを交互に少しずつ食べる食べ方で、口の中で米飯とおかずを混ぜ合わせて、よくかんで味の広がりを楽しむ。

日本の家庭では当たり前のようなスタイルだが、実は日本食ならではの食べ方として見直されている。

 口中調味には良い点がいくつかある。まずは唾液量の変化。

「米飯だけ食べる時よりも、おかずと一緒に米飯を食べる方が咀嚼(そしゃく)回数が増えて唾液量も増加する」と日本咀嚼学会理事で静岡県立大学食品栄養科学部の新井映子教授。

 食べ物をよくかみ砕くことで、唾液が増え、その中の酵素が働き、栄養素を消化吸収しやすくなる。

すると血糖値が比較的すみやかに上昇し、食べる量は少なくても脳の満腹中枢を早く刺激して「食欲が抑えられる」と新井教授。

 さらに、塩分の取り過ぎ防止にもつながる。早く満腹感を味わえて量が減ることに加え、例えば肉や魚に塩気があれば、米飯自体が調味されていなくても、おかずの塩気だけで食べられる。

漬物や昆布、ふりかけで食べると、どうしても米飯を食べ過ぎる人にもお勧めだ。

 食べる際には、スプーンやフォークではなく、なるべく箸を使いたい。箸なら必要以上に量がつかめないため、意識して食べる量を減らすことができる。

 米飯だけ、おかずだけ食べる「ばっかり食べ」をする人も食べる量が多くなりがち。

海藻や豆腐、野菜をたっぷり入れたみそ汁などから口にすると、だしのうま味の満足感で食べ過ぎを抑えやすくなる。