プリン体ゼロに商機…発泡酒 新商品相次ぐ

プリン体ゼロに商機…発泡酒 新商品相次ぐ 

ビール各社がプリン体をほとんど含まない発泡酒を相次いで発売する。サッポロビールは、これまで第3のビールとして販売していた「極ごくZERO(ゼロ)」を、値段が高くなる発泡酒に切り替えて15日に再発売した。

 サントリー酒類やキリンビールも「プリン体ゼロ」の発泡酒を投入する。ビール類の販売が伸び悩む中、消費者の健康志向に訴える考えだ。

 サッポロビールの尾賀真城まさき社長は15日、都内のイベントで「極ゼロをビール類の基軸ブランドとして育てたい」と巻き返しを誓った。

 サントリーは、新たな「極ゼロ」と同じく発泡酒でプリン体ゼロの「おいしいZERO」を9月2日に発売する。キリンも同様の商品を9月上旬から販売する方針だ。

 サッポロは昨年6月、極ゼロを「プリン体をほぼ含まない世界初のビール類」であるとし、値段の安い第3のビールとして発売。

1年で約600万ケース(1ケース=大瓶20本換算)を売るヒット商品となった。
 しかし今年1月、国税当局の問い合わせで、酒税法上の第3のビールに分類されない可能性が浮上。5月末で製造中止に追い込まれた。

 発泡酒の極ゼロは酒税が高くなるため、税込み想定価格(350ミリ・リットル当たり)は第3のビールの時よりも約20円高い。

 サントリーやキリンは、サッポロの極ゼロの値段がこれまでより高くなることを好機と見て、同種の商品の発売に踏み切る。

 酒税法で原料や製法が細かく規定されている第3のビールに比べ、発泡酒は麦芽の原料比率しか指定されていないため、「開発・製造をしやすい」(大手)。

極ゼロが発泡酒になり、「プリン体ゼロの第3のビール」をあえて開発しなくても発泡酒で対抗できるようになったことで「新商品を投入しやすくなった」(同)という。

 ビール類の今年1〜6月の出荷量は前年同期比1・2%減と市場の縮小が続く。各社は、成長を期待できる分野として「プリン体ゼロ」に注力する構えだ。
 プリン体 尿酸のもとになるとされ、ビールや魚卵などに多く含まれる。取りすぎると尿酸値が上昇し、痛風の原因になるという。
(2014年7月16日 読売新聞)