道頓堀ホテルの『あったらいいなサービス』

道頓堀ホテルの『あったらいいなサービス』

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先日、道頓堀ホテルの橋本明元専務をお訪ねし、同ホテルが行っている『あったらいいなサービス』についてお聞きした。
道頓堀ホテルは、入口の4民族の巨大モニュメントがあり知っている人も多いと思うが、ここのサービスは半端ではない。

1階のロビーでは、毎週火曜日の夕方、海外の宿泊客に「手巻き寿司」や「たこ焼き」等の体験型サービスが無料で提供されている。毎月メニューを変えて、日本文化を伝える取り組みを実践されている。

このサービスは『あったらいいなサービス』の一環で、橋本専務は「日本を好きになってほしいからだ」と言い切る。もちろん、訪日外国人に大好評だ。

道頓堀ホテルは、元は海外からのビジネス客が8割をしめるビジネスホテルだった。それを5年前に、香港、台湾などアジアの旅行客にターゲットを絞ったホテルに転換した。

インバウンド向けの中級ホテルが無かったので好評をはくし、日本を訪れるアジアの中間層、若者の利用が増加しているという。

宿泊客の8割が外国人で、その内訳は、香港36.5%、台湾25.3%、韓国16.4%、日本15.5%、欧米5.0%、その他1.3%となる。韓国語・中国語スタッフ4名を配置してサービスに努めており、116ある客室の稼働率は、7割から9割に増えたという。

『あったらいいなサービス』は従業員から提案を受け、良いものはすぐに実行に移すそうだ

冒頭の手巻き寿司体験サービスだけでなく、ロビーにある国際電話1回5分間無料、コーヒー・紅茶飲み放題、パソコン無料貸出、子供連れ宿泊客にはおもちゃプレゼント、レンタル自転車無料貸出、

世界30ヶ国の通貨を市中銀行と同じレートで両替、チェックイン時にお渡しする冊子には、館内案内から、周辺のお勧め飲食店、主要観光地への交通手段、雨の日の過ごし方などの情報が日英中韓語別に記載されたものを用意しているという

他にも、WiFi設備の各部屋完備、DVD無料貸出、記念写真無料プレゼント、パソコン・プリンター無料提供(ロビー3台)、高速LAN(100Mbps)各部屋完備、携帯電話充電器の各部屋無料完備、有機野菜朝食などがある

朝食にもこだわりがある。日本の朝食でよく食べられる「卵かけご飯」、外国人は生卵を食べるのが苦手だが、あえて「卵かけご飯」の良さを理解してもらいたいので提供されているそうだ。

ここまで至れり尽くせりのサービスは聞いたことが無い。

橋本専務は「ホテルの値引きをすることを考えたらコストも手間も問題無い」という。ビジネス客の宿泊日数は平均1.3日であり、土日の稼働率は5割になることもあるが、

観光客の宿泊日数は平均3.2日であり、国や地域によってピークになる時期も異なっていることもあり、稼働率が9割まで上昇したそうだ

利用客層も家族連れやカップル利用が増えているという。
稼働率が向上すれば無理な値引きも必要がなくなる。客単価も8000円前後と約2000円向上したという。

利用客の8割が外国人であることから、リピータになってもらう可能性は少ないが、「道頓堀ホテルはサービスが良くて快適だ」と言ってもらえるクチコミ効果は大きい。
評判を聞いた海外の旅行代理店が、道頓堀ホテルを利用する機会も増えたという。

道頓堀ホテルは1970年設立。従業員60人で、2011年度の売上高は7億6千万円、経常利益は1億2千万円で、ともに過去最高だという

橋本専務は「実は従業員を第一に考えている」とも語っておられた。『あったらいいなサービス』も従業員のモチベーション向上に効果を発揮すると仰っておられる

橋本専務に初めてお会いしたのは、10月に開催された『おもてなし経営推進フォーラム』で報告者された時だった。

以降、Facebookで『あったらいいなサービス』について書いておられるのを度々拝見して、感嘆するばかりであった

サービスを提供すれば対価をいただくのが当然と考える方が多いが、道頓堀ホテルの経営戦略は真逆だ。

ホテルのファンを増やして稼働率を上げることこそ、宿泊業の基本ではないかと思う。

http://ameblo.jp/bio-cafe/entry-11887778444.html