「OSTをどう料理するか」より—事例検証2

さて前回話した通り、事例のディスカッションについて見ていきます。

 ディスカッションは大きく分けると、まず一度目が前回紹介した講座の後に夜に二時間行われ、さらに次の日の午前中にその続きを約二時間半行い、さらに昼をはさんで四時間行われました。

 一回目のディスカッションでは、参加者からのテーマ設定の段階で、自分の熱い思いや大変な経験から、というよりは「教育」や「ビジネスや国際協力」のように幅広いテーマが多く、全体的に自分の言葉で語っておらず、情報交換会のようになったそうです。

 二日目のディスカッションも情報交換会の続きのような感じで、議題提案者のお話を聞く会の感が強く、議題が何かがあまりはっきりとはしなかったそうです。

 さてこの報告を受けて、研修会の中では二つの論点が出てきました。

 一つ目は企画の意図とOSTの整合性をどのように見るかと言う点です。

 まずOSTの大きな目標としては、実際のアクションに向けた議論を行うということです。

 最初のファシリテーション講座で学んだ事実を聞く質問の技法を使い、ディスカッションを行い、先述のOSTの目標を遂げる、というのが企画の意図だったのではないかと思います。

 個人的には、当初のこの企画の意図とOSTの目標はそれ程ずれていないように感じられます。そこで興味深いのはなぜ結果的に目標である具体的なアクションのための会議にならず、情報交換会のようになってしまったのか、という点です。

 もう一つの論点は、今回の事例にも関連しますが、OSTにはどこまで応用可能なのかということです。

 ミーティングを行う際にこのOSTも有効な方法になり得ますが、それはどの場面でどういう状況で使うのか、にもよります。では次回は今回の事例を通じて研修会で話し合われた内容をもとにOSTについてさらに考察していきたいと思います。