子ども、若者支援と社会と会社

このブログで不登校再考の記事の時などにさんざん言ってきてミニに宅八郎、いや耳にタコが出来るくらいかもしれませんが、子ども、若者支援を行う際にも、私たちを取り巻く環境や社会状況を見て、それに対しても働きかけることが重要となります。どうしてもほにゃらら支援というとその支援の対象者に対するサポートのみに目がいってしまいがちですが、例えすばらしい理念をもって個別にいくら良い、理想的なサポートが出来たとしても、個人を取り巻く社会や一般の人が全く違うルールで動いているならば、結果的に支援の目標を達成することは困難になります。

 例えば就労者、勤労者支援の場合、やりたいことが決まって訓練をしたとしても、受け入れる機関、企業や団体などの勤労者に対する待遇がひどかったり、そこの目的がその個人の目的と合っていない、あるいはそもそもその個人が望む様な所がない等々、というようなことになれば、いくら個人のモチベーションを引き出したり、いい訓練をする支援を行ったとしても元も子もなくなります。つまり子ども、若者支援の場合も個人が社会にあわせるための支援(職業訓練や学業支援等)と同時により多くの個人の意志を尊重し、それにより個人の能力を最大限に発揮させ、より活気ある社会にしていく活動も支援と同時並行で行うことがより効率的な方法であると思います。

 TOP PAGEにある三つめの事業の、子どもや若者の意見もしっかりととりいれ、その他にも老若男女、国籍、人種等を問わず、多種多様な人の思いや意見を発表する、という社会に対する啓発活動等も子ども、若者支援の中の一つとして、他のサポートと同時に行っていくのも一つの案です。

 人が仕事をするのは当然ながらそれにより生活をするための対価を得るためですが、ただ単にお金を稼ぐだけではなく、自分自身や自分のした仕事を他者から認めてもらえるかどうかというのも一つの大事な要素だと思います。

 企業やその他の法人等と協力、連帯しより良い職場環境、受け入れ先を創っていくことも若者支援の中の大切な柱の一つですが、そのためには理念だけをもって改善を図るのでは不十分で、企業や法人の大きな意味での利益と公益が結びつくような仕組みを作るということが大事になってくるかと思います。

 企業が発展するために一番大事なものは“人”で、どこも良い人材を手に入れることに一番苦労していると思います。より良い人材と言うのは能力やポテンシャルもさることながら、その企業や法人の仕事に対してどれだけモチベーションをもって働けるかということが非常に大切になってきます。

 先ほど述べたように勤労者(言い方が古い(?_?))は、自分自身や自分の仕事に対して他から認めてもらえるかという部分も働く上で重要になってくるので、企業や法人としてはまずその団体のミッションを明示し、さらに自分のところの仕事がこれだけ社会貢献している、或いは本業と別の分野でもこれだけ社会の役に立つことをしているとアピールすることが、求職者の関心を高め、様々な個性をもった人材が集まりやすくなり、ひいては企業や法人の発展にもつながる可能性が高まります。そして若者支援を行う側も雇う側とつながりを持ち、積極的にそういう所を若者や子供に紹介し、就業意欲を高めたり、個人の興味や目標、志等ととそれらの団体のミッションや仕事とのマッチングを行っていけば、子ども、若者の社会進出のためのモチベーションを上げ、自己研鑽に努めるための動機づけを高めることと企業や法人の発展を同時にねらうことができます。そしてそれが合理的な判断であればより良い職場環境を整えたり、社会貢献をしようとする企業等が増え、結果的により良い社会になっていくための正のスパイラルが出来る可能性があります。

 もちろん職場を通じての社会貢献だけではなく、職場以外の社会活動(コミュニティーの中や同じ問題意識をもった集団の中等での)も非常に大事で、就労支援と同時に社会教育やまちづくりも並行して行う必要があると思います。ただ生活をするためには働くことは重要であり、せっかく働くのならモチベーション高く働いた方がよりやりがいがありますし、企業などからみてもそういう個人が集まった方がコストパフォーマンスが高まり、より大きく成長する可能性が高まります。その意味でこれから働く側と雇う側両方のニーズに答え、さらに社会全体で創造していく形の総合的な子ども、若者支援を行うことが至急必要なのではないかと思います。

前回の記事、子ども、若者支援の可能性と有効性を考察する