子ども、若者支援の可能性と有効性を考察する

前回紹介した子ども、若者支援フォーラムの中で特に重要に思われたテーマの一つは「働くこと」についてです。宮元さんもおっしゃってられていましたが、今までは国の方では就職支援、勤労支援としてサポートしており、それだけではとてもカバーしきれないと思います。

 この子供、若者支援において、ただ単に就職すれば良い、仕事が見つかれば良い、という感覚、姿勢では効率的に支援することは難しいように見えます。

 まずは段階に分けてサポートすることが重要だと感じました。

 仕事を探すにしても、或いは勉強するためにもそれなりのエネルギーやモチベーションが必要となりますし、まずその部分をサポートの根底において支援することが最初の段階になります。

 ただひたすら休むことやカウンセリング等も方法としてはあるでしょうし、状況によっては集団活動や社会活動等をすることも有効な手段になりうるかもしれません。ただ本人が自発的に動ける位のエネルギーが溜まっているかどうかと、何か新しいことに挑戦するモチベーションがあるかが、サポートする側が一番留意せねばいけない点になるでしょう。

 次にエネルギーがある程度溜まって少し将来について考えたり、動いたり出来る状態になってから大事なのは、本人が何をしたいのか考えることです。サポートする方としては一緒に話し、その中で思いや意見をしっかりと聴き、何に興味があって何をしていきたいのかを共に探っていくという役割が大事になってくるでしょう。どう生きたいのか、どんな人になりたいのか、というのがその根幹にあるテーマです。

 そして第三の段階として、そのやりたいことや目標を達成するために情報や場を提供したり、或いはそういうものを提供出来る機関や団体、個人等を紹介したりつなげたりするサポートが必要となります。

 就労支援においては主にこの第三の段階のサポートを中心にしているようですが、この第三のサポートを受けるために想定された対象者というのは、基本的に最初から第一と第二の段階を終えている、つまり動くだけのエネルギーがあり、自分が何をしたいかはっきりしている人となります。

 逆にその最初の二つがしっかりしていなければ、最初に述べた通りサポート自体はどれだけ最善を尽くしたとしても非効率、非有効的になる可能性があります。最初から支援の対象と想定される人の数は限定的となり、支援自体の効果も薄くなります。仕事の紹介やマッチング自体は非常に大事な支援ですが、仕事をしていなかったり、定職についていない人にはそれさえすれば問題は解決する、という考え方は短絡的というかなんというか、若干認識が甘いというかやっつけ仕事的な考え方のように見えます。若者(だけではないが)の就労対策を考える人は誰でも視野を広げるために、若かろうが年配だろうが、偉かろうが偉くなかろうが、一度ニートになった気分で考えてみることが重要ではないでしょうか。

 話を戻すと、つまりより多くの人に対する勤労支援を有効的にするには、まず個人がエネルギーを回復するための支援と方向性を見つけるための支援をその前提として行う必要があるということになります。

 先に原則としては段階的に行うべきだと言いましたが、時には状況に合わせサポートを混ぜていくことも有効でしょう。例えば本当に疲れたり、傷ついたりしている人に対してはエネルギーを回復するサポートが大事でしょうが、そういう状態でも本人が何かやりたい事や志をもっている、或いはそれをもちたいと思っている場合はそれを実現するための方法を共に考え、少しずつ行動に移していくということを第一の支援を行いながらも同時並行でさせていくという方法が考えられます。例としては、第一の支援70%、第二の支援25%、第三の支援5%という感じで始めて、状況が変わってくればその割合を変化させていく、という風に流動的で柔軟なサポートが出来ればベターかと思います。

 理想をいえば全ての子どもや若者のサポート機関でこの様に総合的に行えれば良いのでしょうが、現実的には様々な資源の問題や意見の相違等があり、分業化されがちです。

 従って実際には一つの機関では先述の三つのサポートを行うことが困難な状況であれば、それぞれのサポートを行う機関が連帯しあい一つの機関が総合的に支援を行う様な働きが出来れば効率的な支援が可能になります。

 そのためには連携をとるための中間支援が必要となり、その一つの例としては私のブログのTOP PAGEでもあげた、二つめの事業の『インタラクティブな“場”の集合体の創造』もそれにあたるかと思います。ちなみにTOP PAGEの中の一つめの事業の相談事業が主に今回話した第一、第二、第三段階のサポートに該当し、二つめの事業の居場所や場づくりの事業は、第一の段階でも使えるもしれませんが、特に第二と第三の段階の時に関わってくることになります。これも先ほどから述べているように事業同士を状況に合わせて連動して行っていけばより効果的になると思います。

 今回は子どもや若者に対してどのような支援を行えばより効率的であるのかを考察してきました。では次回は当事者や個人個人ではなく社会や環境の方に目を転じて、どのような働きかけを行うことが考えられるのか見ていきたいと思います。