民主主義について *1*

私はいかなる主義やシステムにもその良い点悪い点、強み弱みがあるので、例えば民主主義に関しても、是々非々で考えることが大切である、と「民主主義と市民自治」前半の部分で述べました。今回の講義(或いはこの講座全体)においての大きなテーマの一つは、市民自治をいかに深めるか、ということであり、民主主義を単純に肯定するだけでは不十分であると考え、それに対する批判を過去の賢人たちの言葉を借りながら、つれづれなるままに行ってみます。重要な単語や日本語では少し使われている概念や意味が違う言葉は外来語で表記することもあるかと思いますが、私は長い間日常スペイン語を使っていたこともあって一番慣れ親しんでおり、むしろ哲学や社会学等の学問はほとんどスペイン語で学んできていますので、ほとんどスペイン語で、ときどき英語か原語で表記させてもらうかと思います。この機会にスペイン語に触れていただいて、興味を持っていただければこれ幸いと存じ上げます。

 まず民主主義の批判者の代表格といえばギリシャの哲学者アリストテレスAristótelesです。スペイン語で貴族政治、寡頭政治主義者のことをaristócrataという位なので、一般的にアリストテレスは少数者の優秀な人々に政治を任せるべきだというエリート主義者に分類されているといっても良いでしょう。

 さらに彼の師匠格にあたるプラトンPlatónも政治はもっとも優秀な人々、彼によると、哲学者たちに任せるべきだと言っています。プラトンは人々の階級を三段階にわけ、一番上が哲学者、二番目が戦士、そして一番下がその他の庶民で、なぜ哲学者が一番上なのかというとそれはidea(絶対善)に一番近いからだということです。このideaに近付くためには善い心と体が必要で戦士は体は鍛えているので、後は善い心と知恵があれば哲学者になるチャンスがあります。プラトンは身体はideaに近付こうとする魂(alma)の牢屋であると考え、その魂の妨害者である身体の欲望や感情に支配されているのが一番下の庶民、田吾作、般ピーなのであるとおっしゃっています。

 プラトンは三に分けるのが好きなようで、身体も三つに分け、一番目が頭、二番目が胸、そして三番目が腹です。お解りのようにそれぞれ哲学者、戦士、庶民に該当し、世界のナベアツさんのネタと同じく三が一番アホです。