小規模集落元気作戦の基本デザイン

(%音符2%) パートナーシップを作戦の軸に据える 

小規模集落元気作戦のエンジンは、都市と集落の住民のパートナーシップです。
言うまでもなく自然豊かな集落では、住民が自らの力を合わせ、生活基盤を築き、村づくりを進めてきました。
しかし、集落でお話をお聞きすると「5年先など到底考えられない」との声もあります。
どうやら、これまで集落が持っていた力が失われつつあり、地域の力だけで取り組むことが困難になりつつあるようです。
そこで、どのようにパートナーシップを創り出していくのかをまず考えました。

(%音符2%) 持続可能なパートナーをつくる 

 「持続可能」という言葉には“おつきあい”の継続という意味を込めました。
いくつかの条件がある中で大切なことは、顔が見える関係が必要ということです。
市町単位の交流ではなく、まちづくり協議会や地域活動グループなどの少人数単位の方がよいのではないでしょうか。
集落からも、何十人もの人に一度に対応することで疲れてしまうという声もあります。
“おもてなし”に終止しないように配慮する必要があります。

(%音符2%) パートナーが見つけてくれるもの 

都市の住民を集落に惹きつける魅力も必要です。
集落の中には住む人が意外と気付いていない「素敵なもの」があるはずです。
生活の中に埋もれた普通にある資源を活用することで対等の交流の関係をつくることが大切です。
そうすれば、来ていただく関係でない、行きたくなる関係を上手く作ることができるのではないでしょうか。
村の特産品の買い手になってもらうのも良いですが、一緒につくる経験を共有することがより効果的な場合があります。
中には、ただ散歩するだけで心安らぐと言われる方もいます。

(%音符2%) 付き合い方はいろいろ 

付き合い方には様々なバリエーションがあります。
交流というと都市の住民が集落に訪れることを想像しがちですが、集落の住民が都市の住民を訪れるのも一つの方法です。
集落で採れた野菜や特産品などを臨時直販所や直買所を設けて販売してみることも考えられます。
まちづくり協議会が管理する公園でテントを張って朝市を開いてみたり、県民交流広場や公民館に運び込み、旬の野菜の豆知識をミニ講座で披露してみたりすることも面白い取組です。
一方、都市の住民は、自然の中で伸び伸びと育った野菜、心の込もった特産品を独り占めすることができます。

(%音符2%) 集落のありのままを知ってもらう 
 
集落には「こんなパートナーと交流したい」という考えを持っていただくことが大切です。
集落側でも、どのように集落の魅力を生かし、どのように村おこしをするのか。
漠然としたものでも良いので、語れるビジョンを持つことが大切です。
集落住民でどんなことに取り組むかを共有しておく必要があります。
その際、既に触れたように、無理のない持続可能な取り組みを考えていくことを忘れてはいけません。
基本はありのまま、素顔の集落を知ってもらうことです。
これは簡単そうで難しいことです。同じように、都市部の住民の素顔も大切です。

(%音符2%) インターンシップを展開する 
 
都市から集落に、集落から都市を訪れる「トライやる」が次のステップになります。
エントリーシートや紹介だけでは見えない素顔を、実際に会ってみるのが一番だと考えました。
お互いの地域の風景を味わったり、お互いに語り合ったりする中で、うち解けていただくことが大切です。

(%音符2%) 交流を持続するための拠点 

 「農業体験でかいた汗をシャワーで流したい」「日中は日差しがきついのでしばらく農作業は休憩」「疲れたのでちょっと横になりたい」など、交流が密接度を増すにつれ、様々な希望が出てくるでしょう。
こうした希望に応えるための交流拠点が欲しくなります。
気安さが増す拠点を持つことで、交流の頻度も高まるでしょう。

(%音符2%) 交流がもたらすもの

 交流は外部からのエネルギーを呼び込むのに良い機会です。
都市住民の視点やマンパワーを集落づくりに生かすことができます。
お会いした集落の住民は「いろいろな人が集落に来てふれあう、それだけで刺激になるんです」「自分たちだけで行動しているので世間が狭い。
他地域との人のつながりが欲しい」とおっしゃいます。
交流は不可欠なものです。
都市住民にとって「第二のふるさと」、集落住民にとって都会に新しい親戚をつくることにつながります。

(%音符2%) 多彩なパートナーを探す 

この他にもパートナー候補はたくさんあります。
県内でも数は多くありませんが、大学や企業もパートナーとして集落との関係を築いているところがあります。
例えば、大学の研究フィールドや企業の保養所として活用するなどしています。
集落生活の実際を語り部として若者に伝える先生役を担っていただいたり、集落の環境そのものや集落での諸活動がもたらす癒しを享受したりすることができます。