定額給付金に関するNPO関係者の声明文

【定額給付金に関するNPO関係者の声明文】

 麻生内閣の追加経済対策の柱として発表された生活支援定額給付金(以下、給付金)に対して、「政策目的が不明確で、効果も疑わしく、財政にも負担をかける」といった批判の声がでています。一方、アメリカ発の金融危機と景気の後退の影響もあり、急増しつつある「生活支援」を必要としている人々からは、給付金に期待する声も聞かれます。

 給付金に関して、政府は、高額所得者が受給を自主的に辞退することを期待するとしています。しかし、辞退により給付金の一部が国庫に戻ったとしても、政府が人々の「生活支援」のために政府が適切なプランをもち、それを実施できるのかどうか、定かではありません。
 
 そもそも人々が必要とする公共的なサービスを政府がすべて提供することはできないことは、政府自身も認めるようになった時代です。このため、市民による自主的な公益活動、すなわちNPO活動が広がってきました。内外における厳しい経済状況のなかで、NPO活動への期待とニーズが急増してくると予想されます。

 こうした期待とニーズにNPOが対応していくには、資金が必要です。NPOは、給付金を必要としない人々に対して、給付金の辞退ではなく、NPOへの寄付を呼び掛け、その寄付をはじめとした市民からの支援を受けながら、政府や自治体にはできないサービスの提供や活動を行っていく必要があります。

 とはいえ、市民の多くは、どのNPOに資金を提供すればよいのか判断が難しいと思われます。このため、個々のNPOだけでなく、助成財団的な機能をもった団体も、NPO向けの給付金などの寄付の窓口になっていく必要があるでしょう。こうした寄付を求めるにあたり、NPOなどは、少なくとも以下の点を明確にしておかなければなりません。

1) 寄付を受ける団体の概要
2) 寄付によって行うサービスや事業の計画や寄付が充当される費目を示した予算
3) 寄付の受領通知の方法
4) サービスや事業の報告の方法
5) 寄付が予想額を上回ったり、下回ったりした場合の措置

 このような説明責任をともなった寄付集めを進め、NPOという市民による公益的な活動を市民が支え、社会的な課題に対応していく社会を築いていくこと。その第一歩として定額給付金の寄付に転化するという活用法を提示する形で、政府の政策を改善していくことが、これからのNPOに求められていくことをNPO関係者として自覚しつつ、市民の皆様のNPOへの支援と給付金をNPOへの寄付する選択肢を政府、自治体も広く市民に紹介することを要請します。