今日もとっても暖かい1日でした。
病院の駐車場にいると車椅子の女性が出てこられました。
女性は私の真横に車椅子を止め
二人で日向ぼっこしている格好となりました。

無言でお日様に向かっているのも何なので
「とっても暖かいですね」と声をかけてみました。
寂しいお顔でお日様を見ておられるような気がしましたが
にっこり笑顔で「いい気持ちねー」と応えていただけました。

ふと母の車椅子を押して病院の中庭を散歩したことを思い出しました。
顔見知りの職員のかたが母を見つけて声をかけてくださいました。
「とってもいいお天気ですね」
腹水で腫れ上がっていた母は「私はもう死んでいるの・・・」と応えていました。
思わぬ言葉に職員さんも困られていました。

だから一人で車椅子で日向ぼっこされている方にも
声をかけるのをためらったけれど、笑顔で良かった。

今日は入院されているTさんの奥様にお顔のエステをさせていただきました。
患者さんにエステ?と思われるかもしれませんが
口から物を食べない方や、お話のできない方はお顔の筋肉もこわばります。

ご主人様が「女の子の幸せを・・・」と思われてプレゼントされたエステですが
施術後は表情がはっきりとされて透明文字盤を見ていただくと
目をしっかりと開けて指の動きもいい感じに見えました。
なによりご主人様が「肌が柔らかいし、つるつるですよねー」って喜んでくださって
嬉しい時間の共有です。

「後で奥様のほっぺにキスしてあげてくださいね」と言うと
テレておられるのか「言わないでくださいよー」とのこと。

(笑)私は変なおばちゃんではありません。

母が癌と闘って10数年。
抗がん剤を使わなかった母は手術だけが頼り。
名医が居ると聞いて
やれ大阪の病院、いや京都の病院と入院先を変えるたびに
私は朝始発の電車で病院に行きそのまま仕事に入っていました。
10年もたつと「私は癌なんだから・・・」も「わかってるって!」と思ってしまっていた。
正直面倒な気持ちも出たし、我儘に思えることがあって
だんだん私が息切れしていました。
そして母を抱きしめることをしなくなりました。

そうしたら母はある日自宅のお風呂で自殺を図りました。
幸い手首をしっかりと切る前に睡眠薬が効きすぎて未遂に終わりましたが
神経に後遺症が残りました。
うつになっていたのでしょう。
病気と闘うことに疲れたのかもしれない。
でも娘の愛情を取り戻す最後の手段だったかもしれない。

抱きしめてあげてくださいね。
キスをしてあげてくださいね。
病気と闘うには医学やお薬の力だけでは補えないことがいっぱいです。
死を意識して生きるのは本当につらくて寂しい、そして孤独な闘いです。

さて奥様の介護を頑張っておられるTさんをはじめいろんな男性介護者の方の
エピソードを載せた本がでました。
『男の介護』(失敗という名のほころび)吉田利康著 日本評論社
良かったら皆さん読んでみてください!。