「おばあちゃんの掛け軸」

遍路行にゆく前に必ずすることがあります。

まず日頃使っている自宅の部屋・車・ガレージ、

そして家の回りの掃除。

「身辺整理(祓い)」というものに近い感覚です。

そして亡くなった叔父経由で頂いた、

父方のおばあちゃんの、お四国と西国の掛け軸を

飾ること(清め、心身を引き締める)です。

掛け軸は無事に帰ったら片付けます。

出発の朝、この掛け軸を静かに眺めるのが、

結構好きな時間です。

・・・眺めながら

「私は何故、遍路しなければならないのか?」

「何故私は遍路がしたいのか?」

自問自答しています。

明確な答えは未だ分かりません。

死ぬまで分からないかも知れません。

しかしながら何となくですが答えは

「それは、生きているから」なんだと思っています。

生きているから…命があるからこそ、

私たちは日々修業(行)をしなければならないという

人生を苦悩苦難を抱き…と同時に、

生きているという歓喜に満ち溢れ、

積極的にやりたいことが出来るのだと思います。

時空を越え、

おばあちゃんの魂と意思疎通をしながら

人生の行者(先人)達の様々な想い(念)を感じ、

またそこから頂き続けている『恩』に報いるため、

今日もまたお四国に行き、

少しでも何かを得、そして何かを捨てて参ります。