絶望にうちひしがれた芸術家

日 時 2020年2月3日(月)10時30分〜12時
 ベルリオーズ(1803〜1869)の代表作「幻想交響曲」を聴いて
きました。
 彼は開業医の長男としてフランス南部に生まれました。
 そして1821年には家業を継ぐという名目でパリの医科大学に
入学しますが、ほどなく医学を捨てて音楽を学び始めます。
 1823年にはパリ音楽院に入学し、オペラや作曲を学んだと
いう異色の作曲家です。
 この幻想交響曲についてベルリオーズは「病的に感受性と激しい想像力を持った一人の若い芸術家が、恋の絶望に耐えかねてアヘンを飲むも致死量に達せず、青年は重苦しい眠りにおちいり、奇怪きわまる数々の幻想を生み出す。病んだ頭脳のなかで彼の感覚や情緒や記憶が音楽的な思想や観念に・・・」と自信のプログラムで説明しています。
 この交響曲の骨格は「自分を裏切って去った恋人を青年は夢の中で殺害し、死刑宣告を受けて断頭台にひかれていく・・・」というもので、そのような物語を音楽にしたものとのことでした。
 またこの曲には楽章ごとに「題」がついており、第1楽章:愛・情熱、第2楽章:舞踏会、第3楽章:野の風景、第4楽章:断頭台への行進、第5楽章:サバト(魔女の宴)の夜の夢・・・です。
 これは彼自身の実体験、すなわちシェクスピア女優のハリエット・スミスソンへの果たされぬ恋の悩みのうちに作曲が進められたものであると言われています。