アメリカのニューシネマとは

日 時 2019年11月9日(土)10時〜12時
 米国のシネマと言えばハリウッドですが、そのハリウッドでは
1960年代後半のベトナム戦争の頃までは、映画制作倫理規定
(プロダクション・コード)があり、厳格に守られていました。
 すなわち、暴力や性、ドラッグや人種問題など公序良俗に反
するものを排除してきましたが、このコードが1968年に廃棄され
「ニューシネマ」と呼ばれる映画が誕生した由。
 今回はそのニューシネマが描く「カウボーイ」に焦点を当てた
内容で、例としまして1969年制作の『真夜中のカウボーイ』により解説がありました。
 従来カウボーイは、ジョン・ウェインやクリント・イーストウッドに見られるように、男同士の絆を大切にし、死をも恐れず、敵に立ち向かう男の中の男、すなわちアメリカという国家の強さを象徴するものでした。
 ニューシネマのほとんどがハッピーエンドでは終わらず、実に後味の悪いものが多くなってきますが、これはアメリカの政治の混迷(ベトナム戦争を経験して、アメリカは実は強くないというアナウンス?)を表現しているとのことです。
 さて『真夜中のカウボーイ』の主人公(ゲイのカウボーイ:ベトナムからの帰還兵)は皿洗いをして暮らしていましたが、彼はニューヨークへ出て上流階級の女性のヒモになって稼ごうとするものです。
 ニューシネマのカウボーイは従来の西部劇に異議を唱え、「強さと弱さ」が共存するヒーローで、自閉するこの頃のアメリカを映しているとのことでした。