愛しすぎず、愛されすぎず。

日 時 2019年9月12日(木)14時〜15時30分
 関西文化に育まれた文学としまして、巨匠・谷崎潤一郎の
「春琴抄」が紹介されました。
 この小説は大坂を舞台としており、そのあらすじは・・・
 薬種商の次女・春琴(お琴)は9才の頃に眼病で失明し、その
身の回りの世話を丁稚の佐助が担います。
 わがままに育った春琴ですがやがて妊娠し、佐助にそつくり
な男の子を出産しますが、両人とも関係を否定し、結局その
子は里子に出されてしまいます。
 やがて春琴は20才になり、習っていた琴・三味線の師匠の死を期に独立し、佐助もまた弟子兼世話役となって春琴の衣食住の世話を続けます。
 春琴の腕前は広く知られるようになり、また美貌であったため弟子も増えていき、その中に利太郎という名家の息子がいて、春琴を口説きますが、袖にされておまけに額にケガまでしてしまいます。
 その1カ月半後に何者かが春琴の顔に熱湯を浴びせ、火傷を負わせます。
 ただれた顔を見せたくない春琴は佐助さえも近づけようとしないので、佐助は両眼を針でつき、失明した上でその後も春琴に仕え、春琴が脚気で亡くなるまで世話を続けました。
 この小説は「中央公論(1933年)」に発表されるや話題となり、映画化(田中絹代〜京マチ子〜山本富士子〜山口百恵〜・・・)され、宝塚でも何度も上演(大地真央〜・・・)された「愛」がテーマの物語です。