万葉集にみる儀礼歌

日 時 2019年3月4日(月)13時〜16時
 今年5月には新しい御代を迎えます。
 万葉集には皇室の儀礼に関する歌が収録されており、また
歌人の歌には皇室に寄せる思いが詠われています。
 これらについてご教示賜りました。
 最初は巻一の二・舒明天皇(天智・天武天皇の父)の国見歌
「大和には 群山あれど とりよろう 天の香具山 登り立ち 
国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ
うまし国そ 秋津島 大和の国は」(大和にたくさんある山の中の香具山に登って国全体を見渡せば、民は幸せに暮らしため池にはかもめがやってきて、すばらしい国だ、大和は)で、天皇には、国の繁栄・民の幸福・政治の安定等の責任があり、天変地異が起こるのは統治者に徳がなくて天が怒っているからだと言われていることから、香具山に登って国全体を確認している歌である由。
 次に巻二の七六・元明天皇(草壁皇子の妃)の即位儀礼・大嘗祭時の歌、「ますらおの 鞆の音すなり もののふの 大臣 楯立つらしも」(りっぱな男達の矢をいる音がし、物部の武士が楯を立てている<神聖な儀式>)のご紹介がありました。
 さて臣下の歌人で、祖先が天孫降臨時に先導したとされる大伴家持の皇統への思いの歌として・・・
 「天皇の 御代万代に かくしこそ 見し明らめめ 立つ年のはに」(天皇の御代がいついつまでも安泰であることを祈念するめでたい宴が毎年開かれますように)の紹介もありました。