「人間椅子」を読み解く

日 時 平成30年12月13日(木)14時〜15時30分
 関西文化に育まれた文学として、江戸川乱歩の「人間椅子」
の紹介がありました。
 彼は本名を平井太郎といい、三重県生まれの名古屋育ちで、
早稲田大学を卒業して大阪で就職するも、いづれも長続きせず
就職・退職・放浪を繰り返し、作家になった人です。
 彼は大学時代にミステリーに関心を持つようになり、当初は
エドガー・アラン・ポーやコナン・ドイル等の翻訳をしていたそう
です。(因みに、日本のミステリーの発祥の地は神戸だそうです。)
 彼の代表作は何と言っても「怪人二十面相と少年探偵団」で、子供(小林少年以下、少年探偵団)が主役、解決は大人(明智小五郎)が行うという内容で、敵である怪人二十面相もきわめて紳士であり、犯行時には必ず予告をする盗賊という設定でした。
 今回の「人間椅子」は家具職人が主人公で、家具を造る腕は一人前だが、人間的には醜くて気が弱い男性で、明るい世界ではいつもひけ目を感じながらみじめな生活をしている人という設定です。
 その男が自分が造った椅子の中に入り、日々革ごしに椅子に座る女流作家(椅子の買主)の感触を感じ、その女性を愛するようになってファンレター(告白)を出しますが・・・???
 結局 この物語は解決されることなく終わります。
 この小説は椅子に隠れることが可能かより、男がそんな行動に走る心理を重点に置いている由でした。