源氏物語の世・身・心

日 時 平成30年7月21日(土)13時30分〜16時
 源氏物語の作者・紫式部は最晩年に自分の人生を振り返るように
「紫式部集(和歌集)」を作りました。
 その中にこめられた三つのキーワードが「世」・「身」・「心」だそうで
すが、その意味は何なのかについて人生と物語をオーバーラップさ
せたお話しを伺ってきました。
 源氏物語はご承知のように、主人公は天皇の子で、数々の恋(人
妻、未亡人、父帝の女御、兄の恋人、政敵の娘・・・)を経験しながら
波乱万丈の人生を歩んだ物語です。
 光源氏も最晩年(51才)になって愛妻・紫の上の死をきっかけに人生を振り返ります。
 源氏物語の表現に、「(中略)・・・人にはことなりける『身』ながら、(中略)悲しき常なき『世』を思ひ知るべく仏などの勧めたまひける『心』強く・・・」とあり、「自分は人より抜きんでた『身』だったが、人に死に別れ悲しい『世』を思い知らされ、仏がそれを教えて下さったが、『心』では気づかぬふりをして生きてきた・・・」とされます。
 これは紫式部の幼馴染や夫の死別とも重なるやにみえます。
 前述の和歌集の一番に百人一首にもあります「めぐりあいて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな」からも容易に推測できます。
 紫式部はこれも人生と受入れ、「源氏物語」にもつながったのではと解釈いたしました。