日常のそばにある異界

日 時 平成30年5月18日(金)14時〜15時30分
 私たちは現世に生きていますが、ここではないどこかがある
のではと思う時があります。
 今世と来世、此岸と彼岸等々、今の世界とは異なる世界を
「異界」と呼びますが、日常にも異界があるということについて
考えてみようというセミナーでした。
 今回は、私たちが「今」を生きながらも、日常と隣り合わせの
異界について文学の面から探検しました。
 紹介されたのは、アメリカの現代女性詩人3人の作品でした。
 1人目はエリザベス・ビショップの作品「待合室で」で、歯医者へ行く叔母について行った少女が待合室で見たアフリカの子供や女性が虐殺されている写真の本から、死の世界(異界)へ運ばれて行く話しでした。
 2人目はシルヴィア・プラスの作品「指を切る」で、調理中に誤って指を切り、流れる血から歴史的流血事件(英国兵の独立戦争、日本の神風特攻隊や写真の開頭術を受けた古参兵等々)へ頭がメタフアー(運ぶ)されて、過去(異界)へつながっていくというものです。
 3人目はシャロン・オールズの作品「一度」で、年ごろの娘が誤って父が入っているトイレを開けてしまった話しで、男性の裸という異界へ入ってしまったというものでした。
 異界とは、そんなに遠い所にだけ存在するのではなく、日常のすぐ鄰にあるというお話しでした。