行動経済学と老前整理 ⑪

8月もあと数日。今日も猛暑日。
昨日は「ニュース シブ5時」放送終了後、大阪に帰って来ました。
私はつくづくテレビ向きの人間ではないなと思います。(ひとりごと)

前回はリチャード・セイラ—がナッジの例として挙げたスキポール空港のトイレの話と、私の渦巻きシール実験の話を書きました。
ナッジの「軽くひじを押す」という感覚がお分かりいただけたでしょうか。

身近にもナッジはあります。このブログの8月16日に「鳥居の意味」で紹介した、鳥居もここでは、「立小便はやめてね」というナッジです。なんだかナッジではトイレ関係の話ばかりのようですが、他にもいろいろな例があります。

ナッジの1つとしてセイラーはキャス・サンスティーンとの共著『実践行動経済学』(日経BP社)の中で次のような例を挙げています。

ーアメリカやヨーロッパからロンドンを訪れた人は安全に道を歩くのに苦労する。アメリカ人やヨーロッパ人にとって、自動車は生まれてこのかた自分の左側からやって来るものであり、自動システムは左側に注意を喚起するものと理解している。しかし、イギリスでは自動車は道路の左側を走るため自動車は右側から来ることが多い。その結果、歩行者の事故が多発する。ロンドン市はうまいデザインでこの問題を解決しようとしている。たくさんの曲がり角、特に旅行客が頻繁に訪れる地区の曲がり角には、歩道にこう書かれている.。「右を見ろ!」

日本でも8月26日に見たネットの「乗りものニュース」の記事で、これはロンドン市と同じようなナッジだなと思いました。

「道路に水玉模様で速度落ちる? 一般道初、峠道の事故対策に導入 」→ 
視覚のマジック

探してみると、身の回りにナッジはたくさんある。またナッジをすればよくなることが多いかもしれません。

ナッジ「注意や合図のために人の横腹を特にひじでやさしく押したり、軽く突いたりすること」

セイラーはキャス・サンスティーンとスキポール空港のハエに出会って、よいナッジの例を認識しましたが、ハエが教えてくれたのはそれだけでなく、どうやって効果的なナッジを設計するかという組織化原理で、この原理を見つけるきっかけはドナルド・ノーマンの『誰のためのデザイン?』(新曜社)です。

私は長年インテリアの仕事をしてきましたから、ここで行動経済学とデザインがつながってびっくり!ますますのめりこみました。

ということで次回はドナルド・ノーマンの話。

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