図書館の片隅から 4 〜 政府は必ず嘘をつく (堤未果 著)

前著「貧困大国アメリカ」に引き続き、米国の政治の変容が日本を始め、世界中を覆い尽くそうとする現状に警鐘を鳴らす。

 米国の政治は今や<国民のための政府>ではなく、自社の利益を追求する<グローバル企業>が、市民ではなく対<消費者>という構図で決定されている。そして<グローバル企業>が<市場>を広げるために世界中にその図式を拡大してゆく。TPPの議論然り、「民主化」という錦の御旗の下に広がったアラブの革命然り。多くの物事が米国に端を発し、関係し合う。東京都がなぜ進んで津波のがれきの受け入れを表明したのか。シリアの内戦がなぜ収束しないのか。
 今後の原発のあり方、TPP交渉参加の表明、大阪市で進む教育改革。国民・市民を置き去りに進んでゆく重要な決断を私達の手に取り戻せるのか?無力感を禁じえないが、著者は希望を捨てることなく、真実を見る努力を怠らず、求めるべき社会のあり方を問い続けるよう私達に訴える。

 衆議院選挙を前に、改めて政治とは、政府とは、と考えてみる一つの視点を与えてくれる。