阪神淡路大震災21年(その3)宝梅中で「若い世代」の遺族が命の授業

宝塚市宝梅3の市立宝梅中学校(辻本宏敬校長)で18日、3歳だった弟卓馬ちゃんを阪神大震災で亡くした金管楽器「ユーフォニアム」奏者、中尾征爾さん(28)の演奏を聴き、経験に学ぶ授業があった。

西宮市の自宅が全壊。無事だった同じ市内の親戚方に身を寄せた際、水の備蓄があり生活に役立った経験などから「地震はいつどこで起きるか分からない。普段からの備えが大切」と呼びかけた。

 中尾さんは震災後に京都市に転居し、中学生の時に吹奏楽部でユーフォニアムを始めた。高校卒業後には英国王立ウェールズ音楽大に留学後に帰国し、現在は関西を中心に演奏活動を続けている。震災の記憶を思い出すのがつらく、震災について語る機会はなかったが、阪神大震災から20年が経過した昨年、さまざまな追悼イベントの主催者の高齢化などを知り、若い世代が語る必要性を痛感。チャリティコンサートや高校で経験を語るようになったという。

 この日は、復興を願う歌「しあわせ運べるように」など3曲を披露しながら、震災当時を振り返った。「助けてくれ」「痛い」と悲鳴を聞き、近所に遺体が横たわっていた光景を見たとし「まるで地獄」と語った。(毎日新聞釣田祐喜)