西日本豪雨災害 活動報告(第14報)

大阪大学大学院人間科学研究科と協定を締結した3団体−中国四川省の新安世紀教育安全科技研究院(張国遠代表、張敏さん)、岩手県久慈市・野田村の北いわて未来ラボ(理事の神先真さん、貮又正貴さん)、NVNAD(渥美)−と大阪大学のメンバー(稲場先生、渥美研の宮前君、林さん)は、8月2日の大阪大学での調印式と記念シンポジウムを終えて、岡山県に入りました。協定を結んだ面々が、倉敷市真備町、矢掛町で関わらせていただいているNVNADの活動に、別動隊として、参加することが目的でした。
翌8月3日午前9時。真備町で最初に泥だしの作業を行わせていただいて以来、何度も訪問している方を訪ねました。近況を伺っていますと、あと1箇所だけ床が上げられないところがあるとのこと。洗面台があり、水道管のことも気になるし、一人では処理できないとのことでした。そこで、岩手からのお二人と大阪大学のメンバーが取り組むことにしました。洗面台は取り除けましたが、床がとても強く固定、組み立てられていて、作業には時間がかかりました。酷暑の中ですから、休憩をとりながら、ようやく午後1時前に完了。もちろん、作業だけではありません。岩手のお二人との間では、野田村の方々が東日本大震災からどのように元気を取り戻していったのかといった話も出ました。また、大阪大学のメンバー(宮前君)は、野田村でチーム北リアス写真班の一員として津波で流された写真を復旧して今も返却していますので、先日洗浄してお返しした写真のことなどを話してくれていました。「阪神・淡路大震災の時は募金。その後も何か災害があれば募金はしてきた。でもまさか自分が被災するとは思わなかった。実際こんな風になってみると、今度は、KOBEから、そして、岩手から応援してもらえた。本当に嬉しい」と仰って下さっていました。

午前10時半過ぎ。西宮から到着したボランティアバスを倉敷市災害ボランティアセンターのサブサテライト(呉妹診療所)で出迎えました。サブサテライトを運営している(応援)社協職員は、大阪北部地震で大変お世話になってきた吹田市社協の中心人物。今度もまたお世話になって、5つのグループにわかれて、呉妹地区での活動に取り組みました。中国四川省からお迎えしていたお二人も林さんと一緒に1つのグループに参加。家に入り込んだ土砂を土嚢袋に詰め込んで運ぶ作業に取り組まれました。「中国の四川から・・・」と驚きつつも喜んでいただいた活動でした。
汗びっしょりになって疲れつつも、どこかスッキリした表情でボランティアさんがバスに戻ってきます。バスには、西宮市民のボランティアさんとともに、稲場研の学生さんを中心に他の研究室の学生さんも乗っていました。別動隊の私たちが、西宮に帰るバスを見送ったのは午後3時過ぎでした。
私たちは、引き続き、矢掛町に向かいました。先日、大阪大学大学院人間科学研究科の修了生達を通じてフェリシモさんからご支援いただいていた女性下着をお渡ししお家を訪ねました。前回、「(仮設)公民館に置いて皆さんに配るよ」と仰っていました。行ってみると、嬉しいことに写真のような表示とともに配っていただいていました。今回持参した追加の下着もそこに加えていただきました。今回、岩手の方々も四川の方々もご一緒しているとお伝えすると、「東日本大震災では、大変だったでしょう。来て下さってありがとう」としんみり話しかけられ、四川の方々とは流暢な中国語で会話をされていました。四川からのお二人は、その会話から、こうした個別訪問の大切さを感じたとのことでした。
はるばる岩手からお二人、遠く四川省成都からお二人。1日の滞在で、1つの小部屋の床をはがしたこと、泥出し作業、追加の下着をお配りしたこと。実はたったこれだけのことかもしれません。しかし、被災地になることを経験した人々との間で確かなつながりが生まれつつあるように思います。NVNADでは、こうしたつながりを大切にしていきたいと思います。