2013年度の高学年造形クラス

昨年度までは地球史のお話をして、太陽系の誕生から地球の誕生、生命の誕生、巨大化する生き物たちの話と進めて参りました。そして、巨大化し強さを誇る生き物たちの中に生まれた「やさしさ」について触れ、花と果実をつけて「共生」する植物やお腹の中で子供を大切に育てる動物たちを紹介しました。この地球史の最後の課題では、巨大で強い恐竜と、果実を食べて種を遠くまで運んでいく小さな初期哺乳類のいずれかを子供たちに選んでもらい、制作しました。出来た作品を並べて、「競争」から「共生」へと時代が変化していく様を皆で味わいました。

生き物たちの長い進化の中で育まれていった「やさしさ」という力は、人間に受け継がれていきます。直立し、言葉を話すまでに進化した人類は、骨や石、粘土を使ってお腹の大きくふくよかな女性像をたくさん作りました。子供を産み育てる女性の中に宿る神秘なる力を、当時の人達はとても大切に思っていたのかもしれません。そんな当時の人達の中には、真っ暗な大地の胎内ともいうべき洞窟に入って、たくさんの動物の絵を描き残しました。

子供たちは大きなボ−ル紙に大きな動物の絵を描き、それらを暗い教室の中に並べて、ろうそくの光だけで眺めました。ろうそくの炎が揺れると、動物の絵がまるで動いているように見えます。暗闇の中に浮かぶ動物を眺めながら、当時の人達は何を感じ取っていたのでしょうか。

造形クラス担当:細井信宏