2013年度の低学年造形クラス

世界にはいろんなお話が昔から語り継がれてきましたが、その中でも特に子供たちの心の栄養として素晴らしいと思われるお話を選んで、子供たちに読み聞かせています。子供たちはお話を聞いた後、水彩画制作に向かいますが、ここではお話の外観(形)を描くことを第一の目標とするのではなく、お話の中に流れている精神的な糧を、色彩を通して体験していくことを最も大事にしています。線や形は私たちの意識(思考)に働きかける傾向がありますが、色は私たちの心に無意識的に入り込んでいく性質を持っています。色のドラマ体験を通して、子供たちの心にお話の本質的なものを届けることが、このクラスを進めていく上での一番の目標となっています。(右の絵はお話「石屋」から)

4月からはアボリジニの神話「虹ヘビ伝説」、日本昔話「石屋」を読み聞かせて制作し、6月からはお釈迦様のお話シリ−ズを行っています。アボリジニの人達は、虹色の大蛇が地上をうねることにより、大地の山や谷を創り出したと考えてきました。科学的考えとしては受け入れがたいと思われるかもしれませんが、地球にはうねりや流れの力が至る所に働き、いろんな形を作り出しています。私達の肉体もこの力が作用してできています。太古の人達はこの力を蛇や龍に例えていました。小さな子供たちは科学的に理解する以前に、お話として世の中を理解することが大切です。そうすることにより、科学ではとらえきれない「神秘の力への畏敬の念」を育てることができます。

右の絵は、月の輝く真夜中に白い馬に乗って静かに出家するシッダルタ王子。

造形担当:細井信宏