第4回日本プラーヌンクスツェレ研究会が開催される

東京自治研究センター会議室を会場として、第4回日本プラーヌンクスツウェレ研究会が開催された。当日の報告では広瀬幸雄さん(名古屋大学環境学研究科)のドイツにおける実践例の報告を興味深く聞くことができた。また、今年の東京青年会議所の皆さんが中心になってすすめる取組みも、きわめて意義あるものになると思われた。
■ 広瀬名古屋大学教授の報告
広瀬さんの報告は、ドイツのカールスルーエ(ライン川の近くに位置する人口約30万人の工業都市)における実践例であった。カールスルーエ市の「交通計画」(トラムと呼ばれる路面電車を市街地の中心部だけ地下鉄化する計画)について、一度は僅差ながら市民投票で否決した計画がふたたび地下鉄化と迂回路の「コンビプラン」として再提案され、この計画に対する市民参加プロジェクトの報告であった。
このプロジェクトは簡単に報告すると、ステークホルダー(利害関係者)会議→市民フォーラムでのプラン提案→公募市民による準プラーヌンクスツェレ会議→無作為抽出の市民などによる準プラーヌンクスツェレ会議→市民全員による直接投票という経過ですすめられた。市民直接投票は「コンビプラン」の「是」「否」を問うものであり、結果は55対45で「コンビプラン」が支持されることになった。
興味深いのは、ステークホルダー(利害関係者)会議や公募市民による準プラーヌンクスツェレ会議、無作為抽出の市民などによる準プラーヌンクスツェレ会議の運営が市議会と市議会に設けられた運営委員会が行うものであることや、公募市民の会議、無作為抽出の市民会議とが反対の結論を出すという経緯があった(公募市民の会議は「コンビプランは次善の策」、無作為抽出の市民会議は「コンビプランは最善の策」というもの)ことなどだが、詳しくは省略する。
やはり、実際にどのようにプラーヌンクスツェレが運営されているのか、現地をよく知る研究者からの報告は面白い。
■ 日本における今年の実践
1昨年の千代田区の「市民討議会」が先達となって、「市民討議会」や「市民ディスカッション」という名の実践がおこなわれてきた。今年は東京青年会議所が中心となって、東京では8箇所か9箇所で、全国的には10数箇所で開催するという見通しが報告された。そのうちいくつかは、自治体と青年会議所などによる実行委員会方式で、また自治体主催で行われるものもありそうだ。
すでに立川市では立川青年会議所が中心となって2月に開催し、同じメンバー、同じテーマであと2回開催する予定だという。無作為抽出による市民の選出というのが他の市民参加の方式と異なるところで、「代表性」の担保などに着目する研究者、行政担当者などもあって、今年の実践は注目を集めそうだ。

なお昨年の第3回研究会の報告は、「地域社会研究」第13号に掲載されている。
http://www.shinoto.de/pzjapan/downloads/dlList2007/files/shinotou2007b_dai3N_PZ_KK.pdf