長光寺「お豆さん」撮影!! 〜遺言プロジェクト〜

5月に撮影させていただいた長光寺さん。

このお寺では、檀家さんを集めて毎月1回、「弘法の日」である21日に法要が行われ、そのあと昼食を振舞うしきたりが残っている。

この昼食に必ず出される「お豆さん」は、地元のOさんが畑で収穫し、お寺に献上・お供えしているもの。

今回は、手間隙のかかる豆づくりを続けておられるOさん、そのお豆さんの調理法を先代から引継ぎ、昔とかわらぬ「伝統の味」を提供し続けておられる住職の奥さんたちに注目。

「弘法の日」の法要〜昼食、そして畑での豆づくりや台所での調理の様子を、制作スタッフ総出で撮影させてもらった。

今回の主役はあくまで「お豆さん」。
畑からお寺へ、かごから食卓へ、そして人の口へ。
「旅するそら豆」を主役に見立てて、それを取り巻く人物を脇役として描いてゆく。
当然、独特のカメラアングルが要求されるわけで…。

法要に先立ち、現場に集まってカメラや照明をセッティングするスタッフ。

住職さんとも打合せを重ね、綿密に狙いを定める。

…が、いざ、本番が始まると、なかなかカメラスタッフの思惑通りにはならない。
ドキュメンタリーでは、人々の動きを見極め、瞬時に被写体を選び、狙いを定め、カメラを向ける判断力と技術が必要になる。
特に、ハイビジョンの横長画面は、人物を撮る際の空間の収め方が意外に難しい。

三脚を動かすことを躊躇したために間延びするアングルでしか撮れてなかったり、カメラのモニタに夢中になって、枠外で起きている決定的瞬間を逃したり。

「使える映像」を撮る難しさをそれぞれ実感。
失敗が最大の勉強。

Oさんがお寺に「お豆さん」を供えに持ってくるシーンでは、原監督直々にOさんへの演技指導が入る。

ドキュメンタリーとはいえ、「魅せる」映像をつくるには、出演者にこういったお願いをするのも必要なこと。これは「やらせ」ではなく、実際に行われているそのままのことを映像を通して効果的に観客に伝えるための「演出」。

年配のスタッフにとって、一番やっかいなのが「スローズーム」。
指先の繊細な力加減が求められる。

この日も、仏像ひとつ撮るのに、3人がかりで何回も挑戦したが、なかなか会心の「ズーム」はできなかった。

天然記念物「ハナノキ」が境内にしっかりと根を下ろす「長光寺」さんとは、今後も長いおつきあいになりそうです。