岩手県花巻市土沢地区で昨年行われた「街かど美術館 アート@つちざわ」の図録が届きました。
たいへん立派なもので、私も昨年参加したのですが、そのおりのことが思い起こされました。

「アート@つちざわ」は文字通り街かどを美術館にしようというもので、萬鉄五郎の出身地でもある同地域全域が展示会場となり、200名ほどの出展者が思い思いの場所を借りて作品を展示しました。
私は鏑用水という、土沢の静かな裏通りをぬって流れる流れの上に、点々と毛糸を結んで行く展示を行いました。用水に面したお宅を一軒一軒訪問し、説明して毛糸を結ばせてもらうのですが、どの家も親切で、「ご苦労様」「通りが明るくなった」と、こわいほどにアートに理解のある地域でした(企画書はこちら。紹介はこちら)。

お寺で一泊し、いっしょになった高山登先生や招待作家の松本秋則さんらと歓談し、2日かけて設置を行いました。
残念だったのは、会期中忙しくて一度も足を運べず、他の多くの展示を見ることができなかったことで、こうして図録を読みながら、ああこんな作品もあったのかと思いながら、これこそ本当にアートとまちとがうまく結びついたすばらしい企画だなぁと感じました。
会期が終了して、かなりたってから撤去にうかがったのですが、毛糸はとてもきれいなままで、町の方々が大切にしてくださっていたことが伝わってきました。

(コメント:門脇篤