先日、会が(公財)京都市景観・まちづくりセンターの再生セミナーに協力したイベントで火鉢を使いました。火鉢にあたりながら、京都市北区雲ケ畑在住の久保さんの山仕事のこと、薪や炭のある暮らしのことなどのお話を聞きました。

今ある暮らしは、私達が選択してきた結果なのだと思っていましたが、最近、本当にそうだろうか?と疑問を持つようになりました。日本が経済成長を遂げる過程でエネルギーや産業に著しい変化があり、それをあたりまえのように思って私は、暮らしてきました。薪や炭だけをエネルギーとした生活には戻れませんが、「薪も炭もある」暮らしを私は選択したい。

木材価格の低下や木自体が使われなくなったことで林業に携わる人も減っています。久保さんは、親が「切り番」で自分は「世話番」だと言われます。生業も家も親子でつなぐ仕組みがなりたたない現代の暮らし。「世話」だけでは、生業にはならないのですが、先祖が守ってきたものを捨てるわけにはいかないと久保さんは山仕事を今も続けておられます。地元の仲間と森林整備をし、学生ボランティアと一緒になって町の人を巻き込んでのイベントにも積極的です。

かつて村の経済を成り立たせ、町の暮らしを豊かにしてきた薪炭。そこから見えてくるものがたくさんあります。山仕事は、単に産業としてだけでなく、森林を整備することによって景観や水源が守られているという側面もあります。そしてそれは、町の暮らしを豊かにしてくれています。すぐに結果を求められ、先のことを見ているヒマがないような暮らしではなく、ものごとをひいて見て、全体を考えられるような暮らしをつくっていきたいです。(よ)