『非行』を考える全国交流集会に参加しました

(関連記事)『「非行」を考える全国交流集会でお会いしましょう!』

非行克服支援センターさんが後援されている『非行』を考える全国交流集会に参加しました

風が冷たい日でしたがところどころ春の兆し。この集会に参加している人たちにとって、この会を終えて帰路につくときには春の陽射しがさすでしょう、と「非行」と向き合う親たちの会(あめあがりの会)代表の能重さんのご挨拶ではじまった全国交流集会。

全体集会に参加させていただきました。
3名の方がそれぞれお話をされました。男の子、女の子それぞれのお母さん。もう一方は自身が非行の体験がある方でした。
※発表されたお2人のお話は、発売されている『絆 (きずな)—親・子・教師の「非行」体験 第2集—』にも書かれているそうです。ぜひ、ご一読を・・・

どの方のお話も、常に揺れ動きつつ、ここまでたどりついた、という印象。
子どもが荒れていった理由として、やはり、問題児は徹底的に排除するという学校側から勝手にレッテルをはられてしまったことや、警察からひどい言葉(生きている価値がない、等)をあびせられたりしたことを皆さん伝えてらっしゃいましたが、それだけではないということ、皆さん自身の子どもへの対峙、自身の気持ちについてをしっかりと言葉にされていました。

(%青点%)揺れ動く親の心〜子どもを信頼できなかった
—『あんたはわたしの子どもじゃない』と包丁をもって大喧嘩。そのときの震えていた子どもの手の意味がわからなかった。いまはよくわかる。
—世間体ばかりを気にして、とにかく否定していた。結局娘には、『帰ってきてほしいというけど、なんで帰ってきてほしいの?』と、その本心を気づかれている。
そして、親は『なんでこの子こんなことをするんだろう』と熟慮し、『とにかく子どもを守りたいんだ』、『本当に守れるのは親だけだ』、とその気持ちを改めて思いなおす。『おかえり』という挨拶から、また、いままでは居場所を突き止めるような内容だったメッセージが『生きている?』に変わった携帯メールから、子どもときちんと寄り添うことをはじめる。それまでには本当にいろいろな苦しみがあって、葛藤があって、体調も崩されたりと、本当につらい想いを皆さんされている。 

(%青点%)誰にもいえない〜親の会という場
時に夫からも批判され、誰にも悩みを相談できない、というお母さんたちの声も。とにかく自分が語りたい、その場が親の会だそう。会の先輩たちはきちんと受け入れてくれる、そういった安心感とともに場がつくられているそうです。特にその場で必ず解決策を見出す、ということではない。とにかく聞いてほしい、という心の叫びを受け入れる。自助グループのルールのようなもの(厳格な規制というルールではなく・・・)が自然発生的につくられていったという印象。『子どもにとって外の世界が居場所なら、親の会はわたしの居場所』と発表者のお一人はお話されていました。

(%エンピツ%)世間体、という言葉は、日常生活の中でついてまわる。そう思わせる社会と、巻き込まれざるを得ない状況になってしまうしょうもない自分と・・考えるとうんざりする。
非行の子どもを持つ親は常に、『子どもが非行、水商売させているなんて・・』と非難の目をつきつけられている。けれど、子どもと少しずつ、いろいろ回り道をしながら寄り添い、いい関係性を築きつつある中での行為か、そうでないか、そこまで分かっている人たちはいないでしょう。ただ、みるのは現象面だけ・・・
(そういう意味では、報道のありかた、メディアのあり方が問題なんだろう。ありのままを伝えることは大切だけど、その背景にある想い、プロセスをどう伝えているのか。例えば犯罪被害者の悲しみを映し出す。そればかり。被害者像を勝手につくりだしている。被害者は笑ってはいけないのか、元気になってはいけないのか。)

(%青点%)当日配布された非行克服支援センターの会報“サポート通信”に、少年事件を考える、というシンポジウムの報告が載っていました。
『家族の問題、親の問題と責め合うのでなく、一人一人が身近な第三者として、子どもの声を受け止め、子どもたちのよき理解者となれる大人として、存在したい。』子どもの声を社会全体が受け止められる、エンパワーメントできるそんな環境をつくっていかなくてはならないと感じています。
※センターの活動、親たちの会の活動、子どもの現状、法制度の問題、非行と子育てについて、非常にわかりやすく伝えてくれる本があります。
『いつか雨はあがるから—支えあう「非行」と向き合う親たちの中で』

親の会は、決して、子どもを擁護する、という会ではない、ということがわかります。現状を受け止めつつ、進んでいくにはどうしたらいいのか、常に迷いながら進むことは必要な時間なんだと感じます。

(%赤点%)最後は、「非行」と向き合う親たちの会(あめあがりの会)事務局長の春野さんが作詞・作曲をした『きっといつか』と、『19歳の花嫁』を、あめあがりの会の皆さんで結成している“あめあがり合唱団”が披露くださいました。『19歳の花嫁』という歌は、春野さんの娘さんをうたったもの。歌の途中で、娘さんが結婚されることになったお母さんの気持ち、娘さんの気持ちを語りの中で伝えてくれます。実際に娘さんがステージで語ってらっしゃったのですが、その姿をずっと見守ってらっしゃる春野さんのお顔が印象的でした。

(『きっといつか』より)
『風よ 伝えてほしい 虹をわたって 
あなたのことを とても とても 愛しているよと』

その気持ちは、娘さんにきちんと届いているんだと、と実感。(春野さんには何度か直接お話を伺わせていただいているのですが、“あなたを愛していると伝えること”という言葉がいつも気になっていました。何か、こう、ぐっとくるものだったので・・・)

『考えてみればいつも首をもたげ、顔を下に向けていつも歩いていました。首をいためるほどに・・上を向いて声を出すことができなくなっていたんです。そこで会で歌を!ということになりました。』と春野さん。本当にみなさん、気持ちよさそうに歌ってらっしゃいました。涙をぬぐいながら。(様々な機会で、合唱団が歌ってくれるとのことですので、皆さんぜひ、お問い合わせを!!)

参加者も,本当に今日は泣いてばかりの会でした。

この場に居させていただけたことに感謝しています。

●関連ブログ:少年付添人制度